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世界自然遺産に指定された島

◆屋久島視察報告◆

 

《日 程》    2005年5月20日、21日
5月
19日に東京、フロラシオン青山で開かれた議員研修会を終えて、その日の夕刻羽田から鹿児島に飛び、翌日屋久島に入りました。

《視察先》   鹿児島県熊毛郡上屋久町、屋久町
                  ○上屋久町役場
                  ○屋久島広域連合(し尿処理場)
                 ○屋久杉ランド他

《参加者》  町議:小宮山建、奥山博文、山口英治、土屋博、田村六郎


険しい山が連なる屋久島(屋久島いわさきホテルより)

《概 要》  日本で5番目に大きい島(面積503ku)屋久島。しかし、そのほとんどが山岳地帯で平野部は少なく、人口は上屋久町と屋久町を合わせて1万4千人しかいない。そのためもあってか、縄文杉などの屋久杉に代表されるように、この島には豊かな自然が残された。その貴重な自然を守っていくために、屋久島は平成5年に世界自然遺産に指定された。そして自然志向の高まる中で、今この島を訪れる人が増え 続けている。町はさらに環境保護の努力を重ねながら、エコツアーための設備を整え、訪れる人が自然を壊すことなく自然にふれあえる工夫を凝らしている。


鹿児島−屋久島を2時間で結ぶジェットフォイル「トッピー」

○上屋久町役場
(環境政策、防災対策、観光行政に関するヒアリング)

●環境政策
 世界自然遺産の指定は、この島の行政や住民の努力の結果であろう。その指定がさらに、この島の人たちの環境保護への意欲を高めている。
 この島にはまもなく新しいゴミ焼却場と管理型最終処分場が完成する。そこには焼却灰の溶融炉もそなえられる。現在ゴミは6種類に分類され、リサイクルが徹底されている。生ゴミは堆肥化し、発砲スチロール、空き缶、廃食用油は再利用を実現している。他にも環境への取り組みとして町役場には電気自動車がそなえられている。なお、管理型最終処分場にはクローズド型が採用された。降雨量が日本一(年間8000mm)の この島で、水処理コストを抑えるために採用されたとのことだが、これには同じく雨の多い八丈町も注目すべきだろう。

●防災対策
 この町では防災情報の伝達に、「オフトーク通信システム」を採用している。これはNTTの電話回線を利用し た多チャンネル放送が可能なシステムだ。だが個人負担があるため未加入世帯が存在し、しかも携帯電話の普及が妨げになってきていることが問題のようだ。
 けれども、多チャンネル放送によって、防災だけでなく、音楽や自主制作番組も放送される。音声だけではあるが議会の模様も中継されるそうだ。NTT回線の利用はいつか転換せざるを得ないかも知れないが、町が行う独自放送は魅力的だ。

●観光行政
 自然を保護しながら、訪れる人たちに自然とのふれあいを提供する。そのためにガイドの登録・認定制度を採用する一方、山歩きのための遊歩道も整備され、さらに自然とふれあうイベントも開催するなど、町はエコツーリズムに力を入れている。 九州で最高峰という宮之浦岳(1936m)をはじめとする険しい山々で覆われたこの島に、年々来訪者が増え続け、平成15年の入島者数は31万人に達している(島内在住者を含む)。また環境保護は 、この島の観光対策としても取り組まれている。リサイクルの徹底、し尿処理施設の完備も屋久島観光に大きく貢献している。

○屋久島広域連合
 

 屋久島は南北に2分され、北は上屋久町、南は屋久町が管轄する。その2町で広域連合を組織し、し尿処理、火葬場運営、介護保険の審査認定等の業務を担っている。今回の視察では、し尿処理施設について説明を受けた。
 この島には下水道の設備はなく、合併浄化槽の普及が進められている。全島の各家庭や事業所の浄化槽から汚水をバキュームカーでこの処理施設に輸送して処理する仕組みだ。施設は近代的で、集中管理室から自動制御される。EM菌を利用したバイオ技術で、汚水は水道水のレベルまで完全に浄化され河川に放流されている。施設の内部に、し尿の悪臭が全くないのには驚いた。だが、下水道もなく、また合併浄化槽の普及も中途であることから、八丈島と同じく、生活排水の処理が適正になされていないようだ。この屋久島でさえこうだから、この問題は多くの島しょに存在するのかもしれない。

○屋久杉ランド
 屋久島は、樹齢が千年を越える巨大な杉が有名だ。その屋久杉の森にすばらしい遊歩道が整備されている。この屋久杉ランドの遊歩道は、革靴を履いたままでも森と渓谷に分け入り、その雄大な自然とじかに交じり合える。人が歩くのを容易にするだけでなく、貴重植物が踏み荒らされないようにするのもこの遊歩道の重要な役割だ。コースは何本かに別れていて、短時間で回ることもできる。
 ところで、屋久杉を使った加工品が島の至る所で作られ、この島の重要な産業になっている。屋久杉はこの島の自然の豊かさの象徴といえる。屋久杉だけではない。島をめぐると野生の鹿や猿を何度も見る機会があった。雨 が多いせいか、島とは思えない大きな川が流れていることにも驚く。雄大な瀧がいくつもある。海岸には大量のアカウミガメが産卵にやってくるらしい。屋久島の自然は豊かさは、やはり「世界遺産」の価値があることを実感した。

樹齢1000年を越える屋久杉(白谷雲水峡にて)

木製の遊歩道 (白谷雲水峡にて)


○その他に訪れたところ
 白谷雲水峡、屋久島環境文化村センター、屋久島フルーツガーデン、大川の瀧、…。

ヤクシカ (白谷雲水峡にて)

ヤクザル (屋久杉ランドにて)


ヤクヒト…、いや視察に参加したハチジョウビトでした。
大川の滝(おおこのたき)
にて

2005年5月27日 (小宮山たけし記)

 

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